|
評価:
レスリー・アドキンズ,ロイ・アドキンズ
新潮社
¥ 780
(2008-06-01)
|
ヒエログリフの解読は、学問の世界でも長年の難問でした。
見事に解いたフランス人、シャンポリオンの生涯も波瀾万丈でした。
本書はヒエログリフとシャンポリオンをめぐる歴史と学問と人間の物語です。
古代エジプトの絵文字、ヒエログリフは紀元前三千年以上も前から紀元四世紀の初めまで使われていたといわれています。人類が最も長い期間にわたって使っていた文字と言ってもいいでしょう。
しかし、エジプト人がギリシア文字を使うようになると、ヒエログリフは忘れられ、解読できるものもいなくなっていきました。
ヒエログリフはは普通の文字ではなく、それぞれ神秘的な意味も含んでいて、それを明らかにするには神秘的あるいは魔術的な知恵がいると考えた学者もいました。ヒエログリフの秘密を解くことは不可能だという考え方が支配的でした。
ヒエログリフ解読を飛躍的に前進させたのが、ロゼッタストーンの発見です!
ナポレオンのエジプト遠征中にナイル川河口のロゼッタで発見された石には、三種類の異なった文字が刻まれていました。上段にはヒエログリフ、中段にはのちにデモティックと呼ばれることになる文字、そして下段にはギリシア文字。同一の内容が三種類の文字で表記されてものと推定され、ヒエログリフを解読する有力な手掛かりとなりました。
ロゼッタストーンのコピーがヨーロッパ中の関心ある学者の手に渡ったのは19世紀の初めの頃で、ここから、ヒエログリフ解読レースが始まることとなりました。ロゼッタストーンのほかにも、ヒエログリフの記された多くの資料がエジプトから運ばれ、学者の研究に供されました。ココで登場するのが本書の主人公ジャン=フランソワ・シャンポリオンです。
解読レースに加わったシャンポリオンはライバルからの誹謗中傷、自身の病弱な体質や貧困と闘いながら、1832年、31歳のとき、ヒエログリフの謎の解明に成功しました。
ヒエログリフは表意文字であると同時に表音文字でもあることを、そしてヒエログリフのアルファベットを発見したことにあります。
シャンポリオンによるヒエログリフ解読によって、いままで神秘のベールで包まれていた古代エジプトの歴史や文化、社会構造などが明らかにされました。古代エジプトについての正しい知識は、シャンポリオンから始まるといっても過言でもありません。